有り余る承認欲求と自己否定感をぎゅっとしてブワッとするところ。

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国内外のニュースで最近良く見る、自粛やロックダウンにより人がいなくなった街で動物がのんびりしてる光景が好きだ。人間を忘れつつあるチンアナゴの話も好き。
人々が街に出ないこの時期を好機に、動物たちが結束して人間社会を乗っ取ってしまえばいいのに、とオーウェル動物農場のようなことを考える。
私の筋書きは、動物園に実は私たちが想像できない領域で認知機能が発達した動物がいて、今までは人間への服従を是としていたが現在の人間社会の状況を飼育員のぼやきから得たことをきっかけに眠っていた自己意識を覚醒させ反乱を企てる。街に繰り出した動物たちは人間が持たない謎の集団意識を獲得し、数をもって人間から社会を奪っていく。
なんてことを想像してる、今世界中でたくさんの人間が同じようなことを夢想し、皆が虚構に満ちた人間社会の破壊願望を持っているはずだ。
だけどそんなことを想像すること自体が既に虚構だ。
自己破滅願望もDNAに組み込まれたシステムなんかじゃない、ただの思想でしかない。虚しい。生物として人間がするべき行動を知ることは、発展しすぎた私たちには難しい。
実はオーウェル動物農場は読んでいなくて、あらすじを知ったのも最近だった。
あらすじを見たら、私の好みにもほどがあると思った。
オーウェル1984は何度も読んでいるのに、なんでこれは今まで読もうと思わなかったんだろう。
腐る程ある「人類を守る」題材の作品を見ていると「なんでこの人たちはそんなに苦労して人類を守ろうとしてるわけ???」と思いしらけてしまうことがある。
小さい頃からそんな作品に溢れていて、そういうものだと認識しているので別に嫌いなわけではないんだけど、たまにふと冷静になるとそんなことを思う。
エヴァでは使徒による世界の破滅を防ぐためにみんななんか頑張っているけど、例えばミサトみたいに使徒への私怨があったり、シンジが人類のためというよりも自分の周りの人たちのためにエヴァに乗っていたりする。そういう人間的な理由はすごく良く分かる。大層なこと言ってるけど意義なんて良く分からない、私が戦うのは結局自分のためだ、というのはめちゃくちゃ現実的な思考だと感じる。
でも「人類を守ること自体を使命として命をかけて戦う」というのは、例えば宗教的な集団意識や、軍国主義もそうだしそういう何か偶像をもってして人類を結び付けているものがない限りは全然現実的でない気がしてる。時代もあるだろうけど。
とまで書いていてもう少し考える余地があると気付いたので、とりあえず動物農場を読みます。